多変量確率変数の計算
多変量確率行列
確率変数を一列にまとめた次元の縦型の確率ベクトルを次のようにおく。
次に確率変数を次のように配置させた行列を確率行列とする。
一応同じ大文字Xを使用しているが区別するために確率行列のほうはボールドのを使い、縦型一列または横型一行の確率ベクトルは太字の斜体(ボールドイタリック)ので表すことにする。
期待値ベクトル
次に期待値ベクトルを考える。
上記次元確率ベクトルにおける期待値ベクトルは、
は転置のことになる。
分散共分散行列
さらに次元確率ベクトルにおいて、各の共分散を、分散をのとした場合、この時の分散共分散行列を次のようにおくことにする。
期待値行列
確率行列において両辺の期待値を取れば、
次にといった各々の分散が有限の確率変数ベクトルの積を考える。
個々の要素について考えれば次のように表されることになる。
このベクトルの各要素が確率変数であるとしとした場合の片方のの添え字があるほうをベクトルの転置行列と考えて、
一次元における分散が以下のように、
であり多次元分布の場合、各要素がに拡張されるのでその分散共分散行列式を今例えばと置けば次のような表現となる。
ここで多次元のベクトル要素間においてとにおけるそれぞれに対応した積と考え、はベクトルの番目の期待値、ベクトルについては番目の要素の期待値であるとすれば、それぞれにおいて対角成分に分散、それ以外の例えば一つのに対してそれぞれの添え字が1から添え字まで展開されると考える。
すなわちという行列は以下のような行列であると考えられることになる。
共分散の各成分を、分散成分をとすれば分散共分散行列は結果として以下のようになる。
添え字など表記を簡略しまとめれば、
いままでのという表し方は実際にはなくこのサイト上でのみ表現しているものなので、ここからは形式に倣って分散共分散行列の表記を以下に統一する。
確率ベクトルの計算
次元定数ベクトルを、の定数行列をとして次のように考える。
これらに対して次元確率ベクトルを作用させた次のような期待値ベクトルの計算を考察する。
まず上記式の[]の中のの各要素に関してそれぞれ展開計算する。
ここから上記式の期待値をとる。
次のように求まる。
多変量確率ベクトルの分散共分散計算
次ににおける分散を考察していく。
分散に関しては以下のように表現できる。
上記式に関しては先ほど求めた結果を使うと次のように変形できる。
次のようになる。
ここからは上記式右辺のを計算していく。
行1列と1行列の行列計算は行列になる。
ここでは行列の定数行列。
よってとその右側の行列の計算はとの計算になる。
これはの横方向の列数の列と右側のベクトルの縦の行数が同じ数の行なのでそれぞれに対応した行列計算ができることになる。
ベクトルをもとに戻しの計算によって得られた各要素を簡略のためと置くことにして以下のように計算していく。
さらにここから上記式の両辺の期待値を取る。
よって上記の計算により定数ベクトル行列は以下のように期待値の左側へ移動できるので次のように求まる。
今度は右辺のPと置いたものをもとに戻してAの転置行列との計算を考えていく。
定数ベクトルAを式の右側へ押し出す。
最終的に一番右側の定数ベクトル行列はの外に出せて次のようになる。
以上について多変量確立ベクトルについて計算した結果まとめると以下のような性質が求まる。
多変量確率ベクトルの計算関連ページ
- 分散共分散行列
- 分散共分散行列ー確率ベクトルが多変量正規分布に従う確率ベクトルである場合の式変形とその導出の仕方の考察。