MoI of a Solid Cone
先日つべを見ていたところ、moment of 〜というのが出ていたのでリンク先を見たら円錐の慣性モーメントの計算に関するものでした。
moment of inertiaとは慣性モーメントのことでこれは物体(剛体)の回転運動に関する物理的特性を示す用語になります。
サテライトサイトでこの慣性モーメント(よくわかる慣性モーメント)に関するサイトを運営しているので興味本位で見たところ結構面白かったので今回これの詳細な説明と計算過程をやってみたいと思います。
右の円錐の画像はもともとよくわかる慣性モーメントというサテライトサイトにて体積積分の例題として使っているものになります。
これを使って進めていこうと思います。
上図右側の円錐の絵は、映像のホワイトボードに出ている円錐の相似関係とは微妙に違いますが意味的には同じことなので絵の通りの相似関係で進めていきます(物理関連のサイト更新はしないと言ってますが、まぁ多少の気まぐれもありますニダ<`ω´>)。
円錐の体積
円柱座標系における円錐の体積積分に関する計算過程
円錐の慣性モーメントを導出する前に円錐の体積を求めます。
円錐の体積を求める場合デカルト座標ではなく円柱座標に置けるヤコビアンを使用します。
なおの範囲に関しては以下のような相似関係を利用します。
微小体積要素は、
これらによりに関しては先ほどの相似関係によってから、に関してはから、に関してはからになるので体積積分における重積分式は以下のようになります。
これを計算していきます。
これにより円錐の体積は以下のように求まります。
円盤の対称軸に関する慣性モーメントの計算
円錐の慣性モーメントを求める前にまず最初に以下に示す円盤の中心軸を通りその円盤対して垂直な軸周りの慣性モーメントを求めます。
上記の画像の円盤は半径がの円盤と考えてください。最初の円錐内の円盤の半径はになっていますが、ここでの円盤の半径の長さはとおいておき、半径の距離変数をとしていますのでそこを注意してください。
座標系は2次元の平面極座標として考えれば、この時の微小部分の面積はヤコビアンによる計算結果により、
さらにこの円盤の全質量を今仮にとし、面積はとすれば、円盤の密度は、
よって微小面積要素の質量は、
回転軸からの距離は、
これらの結果により円盤の微小面積要素dIは、
これを積分によって足し上げていきます。
これにより円盤の慣性モーメントは以下のようになります。
円錐の慣性モーメントの導出
材料がそろったのでここから具体的に円錐に関する慣性モーメントを計算していきます。
先ほど求めた円錐の体積と円錐の質量をとして円錐の体積密度を求めます。
円錐の体積 | |
---|---|
円錐の質量 |
これにより円錐の体積密度は、
さらに上にある円錐の画像より任意の高さの位置にあると考える半径の円盤の微小部分の厚さをと考え、この任意の高さの微小円盤部分ととらえたところの質量を仮にと置きます。
任意の高さにおける、厚さの円盤の質量 |
|
任意の高さにおける円盤の半径
|
また更に上記微小部分に関しての質量は、
と考えられます。
このに関してはさらに以下のように面積と厚さの掛け算と考えられます。
これにより円錐の任意高さにおける微小厚さの質量は以下のように表現できることになります。
円盤に関しての軸周りの慣性モーメントに関しては、先ほど求めたより、を、をに対応させて考え、さらに軸周りの慣性モーメントをと置きます。
これにより、は、
ここでにより、
これを全体にわたって積分していきます。
ここで上記積分を実行するために変数変換を実施します。
次のように置きます。
これをで微分すると、
このことにより積分範囲はではなく次のように変更になります。
よって円錐の慣性モーメントの積分(範囲)は以下のようになります。
この積分範囲の変更によってこれを積分計算していきます。
これらにより次のように求まります。
当サイトは運営し始めて15年以上(ブラショー、サル線、よくベク、よく慣が始まり)になりますが、私が学生時代のころ円錐に関する慣性モーメントが載っているテキストは見たことがありませんでした。
その当時からあったサイトは私の知っている限りでは物理のがきしっぽ様、そのちょっと後に高校数学の美しい物語(個人的に気に入っており暇があれば見ているサイトになります)様などがありますがそのサイトでも同様の結果になっているので円錐の軸周りに関する慣性モーメントの計算結果はこれであっているかと思います。
円錐の慣性モーメントの導出関連ページ
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