熱力学におけるエントロピー
エントロピーとは
私たちの普段の生活においてもわかりうることのように、熱というのは高いほうから低いほうへ移動しその逆はありえません。その過程は簡単にいえば一方通行のようなもの、ひいてはその熱量の移動に関して元の状態には戻らない不可逆的なものであるということがいえるでしょう。その状態量の増加する様子をエントロピーといいます。
この示量性状態量をあらわすそれはで表し、また、系の可逆的なエネルギー循環ならばエントロピーは“0”であり、不可逆的な過程ならばエントロピーは増大していきます。
一般的に“乱雑さ”といわれますがこの乱雑さが増大するということを意味するので何かのエネルギー量が増えるというようなものではありません。
数式で示せば、まず系に加えられる熱量をとし、これに対してしたもの
・・・・ 準静的変化の場合は、は状態量になる。
エンタルピーとエントロピーの関係
エントロピー以外の熱力学的関数であるエンタルピーとの関係を考察してみましょう。
全微分形式のエントロピー式を変形させると、
ここで熱力学の第一法則、
この時のは、を独立変数に選んだ関数とします。
一方、エンタルピーHは、
より、
ということが言えます。
全微分形式のエントロピー式を変形させると、
より、
ということが言えます。
換算熱量として次のようなものを考えます。
が積分分母になっており、このときのを準静的変化で取り出すと(はエントロピー:状態量として)次に示すような式になります。
もしここで上に示されるが全微分であるとするならば、
さらに、
が積分分母になっており、このときのを準静的変化で取り出すと(はエントロピー:状態量として)次に示すような式になります。
となるはずです。すると、
しかるに、
結論 …… は全微分ではない
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