フーリエ変換とデルタ関数
このときの を のフーリエ変換といい、具体的には次のように書きます。
デルタ関数
ここでデルタ関数というものを導入し考察してみましょう。このデルタ関数というのは、つまり以外の場所においての値はすべて0で、でのみその値が∞となり、かつその面積が“1”になると定義されるちょっと変わった関数です。
デルタ関数のその他の表し方:フーリエ積分表示
ある3次元空間(P空間)において次のように表現される関数を考えこれに対してなどを作用させ変形していきます。
これの積分領域を全空間として表示すると次にようになります。
ここで空間の極座標に変換します。ただし軸をの方向になるようにとればその微小部分のヤコビアンは またドットプロダクトの基本定理により これらを利用して代入すれば次のようになります。 まず変数変換としてと置き、これをθで微分すれば 変数変換となるのでこれを代入します。
ここで三角関数の性質 により、
これを代入すれば、
さらにここで次のような公式
を使えば、
よって式は次のようになります。
これにより一次元でのデルタ関数は次のようになります。
デルタ関数を使ったフーリエ変換式の求め方
今ここでこのデルタ関数において方向にだけ水平移動させたとすればデルタ関数 は、
これを使えば先ほどの一次元デルタ関数は次のように表現できます。
関数において区間との積は、 これをからにおいて積分を実行すれば、
(簡単にいうと非常に小さい区間においての長方形の面積を求めているといった感じで考えてください)
代入します。
見てわかるように上記式変形中において出てきた下部鍵括弧のなかのものは最初に示したフーリエ変換式です。そして右辺の一番最後に出てきた式をフーリエ逆変換の式といいます。
ではいったい何のためにこんなめんどくさいことをするのか?
簡単に言えば、実際の現象を微分方程式などに置き換えた場合、その因果律を導き出すことは簡単なことではありません(むしろ解けないことのほうが多い)。そこでこのフーリエ変換という技法を使うとその現象がわかりやすくなるという利点があります。
例)例えばつぎに示すような方程式があったとします。
これに対して実際にフーリエ変換してみると、
このようにxの世界の現象がPの世界の現象に置き換わっています。そうすると今までxの世界で見ていた場合わかりずらかったものが、Pに置き換わることで見通しが明るくなり、その現象がわかりやすくなるという利点があるからです。
具体的な例
次に示すような波形を考えます。
とすればフーリエ変換の式は次のようになります。
これを実際に計算します。
出てきた式を見ればわかるように先ほどのxの世界のものがkだけの式に置き換わっています。こうすることにより今まではわかりずらかった現象がフーリエ変換を施すことによって見通しがよくなったりします。