フーリエ級数展開
区間は次のよう和の記号を用いて級数に展開することが可能であるとします。
このように表現されるとき、上式の右辺、
の部分をフーリエ級数展開といいます。
右辺式中のは次のようになります。
実際にを求めます。
まず、
の両辺にをかけて、それをからまでを積分してみます。
▼右辺第一項の計算
なのでになります。
したがって、
右辺第2項、3項の導出
次にの導出ですがその前に三角関数の性質についておさらいしてみましょう。
三角関数の加法定理には以下の性質があります。
上記の式を覚えるコツは、のほうは“シンコスコッシン”、のほうは“コスコスシンシン”、などとすると覚えやすいです。
そしての場合は符号はそのままで、のほうは符号が逆になるということに注意しましょう。
この式において、互いに引き算足し算などをするとさらに次のような式が示されます。
こういった性質をつかって上記の積分を解いていきます。
右辺第2項の計算
のとき
まず、のとき、
※)20211103加筆修正。最後の結果の=0が抜けていました。訂正しお詫び申し上げます。
なお、上記の式においては三角関数の性質における次のような関係式、
を使っています。
のとき
次にであるならば、
という結果によりの場合は次のような結果になります。
このときこの結果により、のとき、
はのときだけゼロでない結果が出ます。
よって、
の場合、
により以下のように求まります。
右辺第3項の計算
さらにの部分は、
となるので結果はゼロ。
また、コサインの遇奇性によりです。
をかけた場合
次に、
の両辺にをかけて、します。
上記式右辺第一項は、なので式自体が消去できます。
さらに第2項も、先ほどの上記式のように計算していけば同じように結果は0になります。
右辺第3項の計算
第3項のとき
さらに第3項に関して計算していきます。
のとき。
※)20211103加筆修正。最後の=0の式がありませんでした。訂正しお詫び申し上げます。
のとき
となるので結果は次のようになります。
この結果により、のとき、
はのときだけゼロでない結果が出ます。
となるので、
より、
という結果がそれぞれ導かれます。
以上の結果より、フーリエ級数展開の式は、
と書けることがわかります。
■具体的な例
次に示す範囲のをフーリエ級数展開してみましょう。
まず求めるものはとです。
まずを計算します。
第1項の計算
つづいて第2第3項の計算をします。
第2項の計算
第3項の計算
これらの結果により第3項ののみが意味のある解になります。
表題のフーリエ級数展開の式に上記の結果をあてはめて行って以下のように計算していきます。
この結果により以下のような計算結果を得ます。
非常に単純に示した 、
のようなモデルからなぜ上記のような式が出てくるのかと考え込む方が多いと思いますが、まぁそこはあまり深く考えずにこういうものなんだと軽く受け止めましょう。
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