全微分
− すべての変数を微少量動かすということ
を微少量だけ動かす。
すると、一次近似より、
となります。
ここでこのときの関数の変化量をと書くならば、
となります。
これを関数の全微分といいます。
全微分とは、すべての変数を微少量動かしたときの一次近似での関数の変化量
2変数の場合
の変数を微少量動かしてみます。
すると一次近似では、
3変数でも同じように、
ここで簡単な例題を考えてます。
ある2変数関数があったとします。その変数はさらに変数によって示されるものとします。
このときの微小変化量は、それぞれ、
になります。
まず、に対する全微分は、
なので、この式に先ほどの(1.1)の式を代入します。
または、
となります。
また、関数が変数で表されている次のというような場合は、
ここで、から
なのでこれを代入すると、
となります。
【問題】
ある2変数関数があります。
この関数における変数はそれぞれ次のように表せるとします。
このとき、を求めてみましょう。
【答え】
まず、の式を微分します。
そして、の式に関してそれぞれとで偏微分します。
ここで、
に代入すれば、
以上の考え方をさらに発展させてみましょう。
においてが変数にそれぞれ依存する場合
次に示すように、ある関数においてがさらに変数にそれぞれ依存する場合を考えます。
この時の全微分がどうなるかを考えます。
まず、のそれぞれの全微分の式は、の式は変数に依存しているので、
そして今度は、そのとが、それぞれとに依存しているので
となります。
(1.2)の式に(1.3)のそれぞれの式を代入してみると、
より、
ここでとみなせるので、
(1.4)及び(1.5)の式を比較すれば、
と表せることがわかります。
以上を元に実際の計算を行ってみましょう。
補遺
このセクション内においてこれより先は単なる飛躍です。興味のある方だけ読んでみてください。
いま、関数に構成されている変数は、さらにという変数と次のような関係にあるとします。
このときの
を
を使って表すとどうなるかをすこし考察してみましょう。
とは全微分の公式により、
とはという公式により、
と書きなおすことが出来ます。
まずはのほうから微分していきます。
次に、
の計算ですが、これはちょっと工夫して、
このようにし、両辺をそれぞれ微分します。
となるので、
さらにに関しての微分を行うと、
は、先ほどと同じように、の両辺を今度はで偏微分します。
これより、
以上の結果より、それぞれ、
■一様な重力場中における質点の力学的エネルギー■
全微分の式を使って、力学的エネルギーが時間によらず一定、つまりであることを示します。
ちなみに微分の表記の仕方は今までやったとおりですが、時間で微分する場合はなどという書き方をします。意味的にはと全く同じです。呼び方はドットといいますのではワイのワンドットなどといったりします。
力学的エネルギーの式には変数がとの二つになっているのでと表せます。
これに対して全微分の式を適用すると、
の式をそれぞれで偏微分します。
(1.6)式に(1.7)を代入します。
この式をスカラー倍します。
ここでより
これにより、
よって“”は時間によらず一定であるということがわかります。
全微分関連ページ
- 導関数
- このセクションでは導関数の基本的な考え方とその計算方法について考察していきます。
- 合成関数の微分
- 微分積分学において重要な概念である合成関数の概念とその微分方法に関して考察していきます。
- 対数微分法
- 対数微分法とは両辺の対数をとることから名づけられた微分法であり、この微分を行う場合、合成関数の微分を実行する際に用いられた連鎖律という考え方が重要になります。
- 偏微分
- 微分積分学−ブラックショールズ偏微分方程式を導くための偏微分に関して考察していきます。1つの式の中に2つの変数が入っているある関数に対しての微分h棒法について考察していきます。
- 一変数関数の積分
- 当サイトはこのブラックショールズ偏微分方程式の導出家庭だけではなくそれらを導くための初等数学からを丁寧に解説したサイトになります。このチャプターでは基本となる分野になる微分積分に関して簡単に説明していきます。
- 置換積分
- 間瀬宇鵜の積分というのは主に積分の公式が使えるように変形させるという行為が非常に重要になってきます。このチャプターではこの地間瀬積分について官憲つに説明していきます。
- 部分積分
- 当サイトはこのブラックショールズ偏微分方程式の導出家庭だけではなくそれらを導くための初等数学からを丁寧に解説したサイトになります。このチャプターでは基本となる分野になる微分積分に関して簡単に説明していきます。
- ガウス積分
- 当サイトはこのブラックショールズ偏微分方程式の導出家庭だけではなくそれらを導くための初等数学からを丁寧に解説したサイトになります。このチャプターでは基本となる分野になる微分積分に関して簡単に説明していきます。