境界値問題

無限区間における熱伝導方程式

無限区間における熱伝導方程式(拡散方程式)に関する問題とその解法

無限区間における熱伝導方程式(拡散方程式)とフーリエ積分

前セクションでは定区間においての一次元熱伝導方程式をやりましたが今度は、

熱伝導方程式,変数分離形

について無限に長い場合(無限区間)の方程式を考えてみることにしましょう。

 

積分範囲が無限区間となるのでこの場合はフーリエ積分表示が適用できるようになります。

 

  • 初期条件

初期条件

 

 

同じように変数分離を行いそれぞれの定数をrhoとします。

 

初期条件

 

無限区間における熱伝導方程式

 

 

右辺はtの関数、左辺はxの関数になっていますので、それぞれを定数rhoとみなして式を作ります。

 

無限区間における熱伝導方程式

 

 

無限区間における熱伝導方程式について

 

無限区間における熱伝導方程式

 

についての特性方程式は、

 

無限区間における熱伝導方程式

 

 

なので基本解は、

 

無限区間における熱伝導方程式

 

無限区間における熱伝導方程式

無限区間における熱伝導方程式について

次に,

 

無限区間における熱伝導方程式

 

に関して、

 

無限区間における熱伝導方程式

 

を代入すると、

 

 

無限区間における熱伝導方程式

 

 

無限区間における熱伝導方程式

無限区間における熱伝導方程式

 

 

となるので以下のような微分方程式がでてきます。

 

無限区間における熱伝導方程式

 

といった微分方程式がでてきます。

 

これを解いていきます。

 

無限区間における熱伝導方程式

 

 

無限区間における熱伝導方程式


 

無限区間における熱伝導方程式


 

無限区間における熱伝導方程式

 

 

 

 

 

これらの結果より境界条件は、

 

無限区間における熱伝導方程式

 


 

無限区間における熱伝導方程式

 

 

 

上記の定数定数A,Bにはそれぞれの中に定数Cが組み込んであるものとしています(単に表記を簡略化しています)。

 

上式の解において線形結合なのでこれによる重ね合わせもまた解になるということを考えれば、

 

無限区間における熱伝導方程式

 

 

と表現できます。

 

さらにここで定数A,Bqの関数と考えた場合、

 

 

無限区間における熱伝導方程式

 

この式が以下に示す初期条件、

 

無限区間における熱伝導方程式

 

 

を満たすようにします。

 

 

 

無限区間における熱伝導方程式

ここでf(x)のフーリエ積分表示を適用すれば、

 

 

無限区間における熱伝導方程式

 

無限区間における熱伝導方程式

 

無限区間における熱伝導方程式

 

 

となるので代入して、

 

無限区間におけるフーリエ積分

 

 

無限区間におけるフーリエ積分

無限区間におけるフーリエ積分

 

ここで収束性というのについて述べると、フーリエ積分というのは、f(x)無限区間におけるフーリエ積分という範囲において絶対積分可能であり、さらにはこのf(x)が有界(※無限に長い棒としていますが、
?∞で有界(boudary condition zero to Lという前提のため)であるというこの2つの条件を満たせば積分順序の交換が可能になります。

 

そうすると次のようにできます。

 

 

無限区間における熱伝導方程式

 

 

先ほどのセクション(一次元熱伝導方程式)の無限区間における熱伝導方程式と違うところは、無限区間(における熱伝導方程式)という前提のためにフーリエ積分になるのであって、そのフーリエ積分という性質のために新しく、

 

無限区間における熱伝導方程式

 

の部分の計算が必要になってくることです。

無限区間における熱伝導方程式の計算

 

まず求める積分を無限区間における熱伝導方程式と置きます。

 

無限区間における熱伝導方程式

 

 

これを無限区間における熱伝導方程式で偏微分します。

 

無限区間における熱伝導方程式

 

 

上式の右辺に対して部分積分を実行します。

 

部分積分の公式、

 

 Integration by parts formula

 

に当てはめればそれぞれ、

 

 

 Integration by parts formula

 

となるので連鎖律(チェイン)を使い、次のように微分していきます。

 

フーリエ積分連鎖律

 

フーリエ積分連鎖律

 

 

より、フーリエ積分連鎖律微分qについて微分した結果は、

 

フーリエ積分連鎖律微分

 

 

フーリエ積分連鎖律微分

 

 

となるのでこれを利用すれば、フーリエ積分連鎖律微分式の右辺の部分積分は、

 

フーリエ積分連鎖律微分

 

 

フーリエ積分連鎖律微分

フーリエ積分連鎖律微分

 

 

 

という結果より、

 

 

フーリエ積分連鎖律微分

 

となります。

 

この微分方程式を解いていきましょう。

フーリエ積分

 

左側のコンテンツ

フーリエ積分

フーリエ積分

 

フーリエ積分

 

 

ここで境界値問題,熱伝導方程式,放物型偏微分方程式,拡散方程式,ブラックショールズモデル,偏微分方程式,オプションプライシングモデル境界値問題,熱伝導方程式,放物型偏微分方程式,拡散方程式,ブラックショールズモデル,偏微分方程式,オプションプライシングモデルを見やすいようにただの境界値問題,熱伝導方程式,放物型偏微分方程式,拡散方程式,ブラックショールズモデル,偏微分方程式,オプションプライシングモデルと表記します。

 

すると、

 

 

フーリエ積分

 

 

といった感じになります。

 

次にこの定数境界値問題,熱伝導方程式,放物型偏微分方程式,拡散方程式,ブラックショールズモデル,偏微分方程式,オプションプライシングモデルについて考察してみると、この境界値問題,熱伝導方程式,放物型偏微分方程式,拡散方程式,ブラックショールズモデル,偏微分方程式,オプションプライシングモデルIの変数を{kt, (u-x)}としてI(u-x)について積分したものなので、当然でてきた積分定数境界値問題,熱伝導方程式,放物型偏微分方程式,拡散方程式,ブラックショールズモデル,偏微分方程式,オプションプライシングモデルC(kt, 0)だということにあります。

 

Iを元に戻せば、

 

C(kt, u - x)

 

 

 

 

フーリエ積分定数計算

 

 

ここで(u-x)=0なので、

 

境界値問題,熱伝導方程式,放物型偏微分方程式,拡散方程式,ブラックショールズモデル,偏微分方程式,オプションプライシングモデル

 

 

ここで出てきたこの式にガウス積分公式が適用できるように積分範囲を広げます。

 

ガウス積分のフーリエ積分への適用

右辺の積分を実行するために変数変換をします。

 

 

ガウス積分のフーリエ積分への適用

 

 

ガウス積分のフーリエ積分への適用

 

 

代入すれば、

 

無限区間のフーリエ積分

 

 

無限区間のフーリエ積分

無限区間のフーリエ積分

無限区間のフーリエ積分

 

 

無限区間のフーリエ積分

 

これにより以下のようになります。

 

 

無限区間のフーリエ積分

 

 

無限区間のフーリエ積分

 

 

無限区間のフーリエ積分

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