2013年8月10日

年金終価係数

複利計算による将来の価格(終価という考え)

一般的にただ漠然と利潤のみを狙って投資をしているなら別ですが将来いったいいつまでに、かつ毎月いくら積み立てていきたいと考えるような堅実な運用である場合、大体の期間を定めて年間何%の金利を設定すれば将来いったいいくらになるかという計算を行う場合がおおいかと思います。
例えば年利率3%で運用していった場合、一年後には元本(n)も含めた金額はn×1.03になるものだというものであって、例えば100万円を一年間運用すれば103万になります。
そしてその金利には単利と複利があります。
元金をP>、年利率i、終価などの数値をS、さらに利息をIとします。
期間をn年間とした場合、その期間内における単利による利息Iは、

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なので元利合計は次のようになります。

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この出てきたSを先ほども言った終価という呼び方をします。

複利計算

複利計算においては一年を経過した元利合計をさらに次の年度の投資元金に組み入れるというものなので、
1年後の元利合計

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2年後の元利合計

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結果的にこれの繰り返しになるのでn年後の複利計算における元利合計S(終価)は

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この上記式を変形させると次のような表現ができます。

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通常の場合だと最初に元本を確保して、それを運用して将来の価格(終価)を予想するものですが、この式を利用すると例えば十数年後に○○○○万円を目標に利殖していった場合、最初に用意する元本はいくら必要になるか?という計算が可能になることがわかるかと思います。
仮に年利3%、20年間運用できたとし、終価5000万円を得たいのであれば以下のような計算になります。

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期始払い確定年金終価

上記の式をさらに発展させた式で期始払い確定年金終価という数式がある。
年金終価係数,期始払い確定年金終価,ファイナンシャルプランナーを年利率、年金終価係数,期始払い確定年金終価,ファイナンシャルプランナーを年数として次のように表す。

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sの上にツードットがありますがこれはニュートン表記によるものではなく生命保険数学分野において使われる専用の表記になります。
参考までに追記すると次のようなものも。

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期始払い年金終価係数

ex1.
仮に年利3%で20年間運用できたとし、その20年後に5000万円を目標にしたとします。そうした場合の毎年始めに用意する金額がいくらになるかを実際に期始払い年金終価の式に代入して導き出してみましょう。
年利:年金終価係数,期始払い確定年金終価,ファイナンシャルプランナー=3%、年数:n=20年

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毎年始めに用意する金額を“X”と置くと、終価5000万なので次のような恒等式が成り立ちXが求まります。

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毎年初めに用意する金額が約180万円。これを毎年複利で運用していった場合20年後には目標の金額に達成することができます。ただし毎年同じ金利で運用できた場合であり、経済環境は常日頃変化しているので運用金利が変更になった場合は途中で工夫する必要があります。
ex2.途中で金利の変更などがあった場合
次に利殖している期間内において利率の変更などがあった場合を考えてみましょう。
例として3%だった利率が10年後に引き下げになり2%になったとします。
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こうした場合、まず変更前の10年間の運用結果を導きます。

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先ほどの計算結果年金終価係数,期始払い確定年金終価,ファイナンシャルプランナーより

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毎年の積立額による10年後の元利合計は

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この額の残りの10年間の2%の元利合計は

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差額は

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この求められた金額に対して残りの期間の10年間の期始払い年金終価を求めます。
年利2%運用での10年間の期始払い年金終価は、

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金利変更後の残りの金額を達成するための毎年始めに用意する金額を今度は年金終価係数,期始払い確定年金終価,ファイナンシャルプランナーと置きます。

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実際の個人投資家としての運用環境を考慮

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基本的に年の始めにその後に運用する金額をボンっと用意するとしていますが、もともと蓄えがある人は別として実際にはそうそう簡単にこれだけの金額をいきなり用意するのは難しいし、またたとえそれを用意するだけの蓄えがあったとしても、一般的な社会生活をしている人であれば、毎月の給与から生活費などのコストを除いた可処分所得を毎月貯蓄に回している場合がほとんどかと思います。

要するに蓄えがある余裕ある人でも野球選手のような年棒制でもない限り、投資などに回せる金額が毎月ごとに発生しているはずです。

 

“時は金なり”という言葉が示すように、終価係数で求められた金額が貯まるまでそのまま一年間にも渡って資金を眠らせるというような行為は、やはり本末転倒と言わざるを得ません。
なので期始払い年金終価における年利率年金終価係数,期始払い確定年金終価,ファイナンシャルプランナーを次のようにしてみます。

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月ごとにある一定の金額を運用投資に回して決められたある時期に決められたある金額をためるには、毎月いったいいくらの金額を用意すればよいか、その金額を表示させるエクセルシートを実際に作ってみました。

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上記画像では年利5%で運用していき、20年後(240か月後)に2000万円をためるには毎月いったいいくら投資に回せばよいかその結果が表示されています。

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このグラフを見てわかるように、運用投資をするのとしないのとでは20年後の金額の差に大きな開きができることがよくわかります。

 

ただし上記の例のような毎年年利5%で運用し続けることはプロでもなかなか難しく、一般の方ではなおさらのことらしいです。

外部リンク:分散投資で年利3%の運用を目指す
上記のリンク先の内容だと5%での運用は難しくとも3%での運用ならばある程度は目指せるらしいとのこと。
仮に目標額を2〜3000万ほどとし、それを30年ぐらい続けるとした場合は3〜5万円程度の毎月の積立になりますが負担なく毎月続けるにはこれぐらいの金額が現実的なのだそうです。
実際に手元にある年金終価係数エクセルシートを使って年利率3%で30年間運用の目標額3000万円とした場合、毎月の積立額を計算すると約5万円という金額になります。
運用しない場合と比べると毎月3万円強の違いが出てきますが、毎月のこととなるとやはり少ない金額とは言えません。

 

ちなみにこの数式は生命保険数学の分野になり、ファイナンシャルプランナーであれば大抵の場合はよく知られた数式になります(3級試験によく出るらしく、私のときもちゃんと出ました。)。
これらはとりわけ小難しい数学の知識は使っていませんのでグラフ表示ができるような係数算出の簡単なエクセルシートなどをご自分で作ってみるのも面白いかと思います。
ただし、投資(特に株式)はあくまで自己責任で何卒よろしくおながい申し上げます。

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