2013年9月1日

くり抜き円盤の慣性モーメント

平行軸の定理

物体(剛体)の回転に関する物理的特性を示す用語で“慣性モーメント”というのがありますが、それに関連する内容で“平行軸の定理”というのがあります。

 

これは物体の軸に関しての慣性モーメントがわかっているとき、これに平行な位置における軸に関しての慣性モーメントを求めるとき使われる計算法になります。

 


慣性モーメントの詳しい説明はこちら

 


任意の点0を通るz軸の周りの慣性モーメントの計算
重心を通る1つの軸があるとし、それをz軸として、z軸の周りの剛体の慣性モーメントをとします。この軸に平行でhの距離を隔てた軸まわりの慣性モーメントを考えます。

慣性モーメント,計算,平行軸定理,くり抜き円盤,シュタイナー定理

の式を積分の形にすれば

慣性モーメント,計算,平行軸定理,くり抜き円盤,シュタイナー定理

0の周りのモーメントは、

慣性モーメント,計算,平行軸定理,くり抜き円盤,シュタイナー定理

慣性モーメント,計算,平行軸定理,くり抜き円盤,シュタイナー定理

ここで慣性モーメント,計算,平行軸定理,くり抜き円盤,シュタイナー定理を質量中心の座標とします。
積分の第2項は質量中心を通り、慣性モーメント,計算,平行軸定理,くり抜き円盤,シュタイナー定理軸に平行な軸周りの慣性モーメントであり、これを慣性モーメント,計算,平行軸定理,くり抜き円盤,シュタイナー定理とします。
質量中心より回転の中心0までの距離を慣性モーメント,計算,平行軸定理,くり抜き円盤,シュタイナー定理とすると

慣性モーメント,計算,平行軸定理,くり抜き円盤,シュタイナー定理

となります。

 

さらに第3項の慣性モーメント,計算,平行軸定理,くり抜き円盤,シュタイナー定理及び慣性モーメント,計算,平行軸定理,くり抜き円盤,シュタイナー定理は質量中心の定義においてゼロ。
以上の結果より、慣性モーメントとして、

慣性モーメント,計算,平行軸定理,くり抜き円盤,シュタイナー定理

すなわち

慣性モーメント,計算,平行軸定理,くり抜き円盤,シュタイナー定理

が導かれます。
つまり、軸の重心を通るときの慣性モーメントがわかっていればその軸に関して平行に移動したところの慣性モーメントが、上記式の右辺第2項を足しさえすれば求まるということになります。

くり抜き円盤の慣性モーメントの求め方

慣性モーメント,計算,平行軸定理,くり抜き円盤,シュタイナー定理



上の絵の左側の斜線なしの部分は、元の円盤(半径a)から半径慣性モーメント,計算,平行軸定理,くり抜き円盤,シュタイナー定理の部分をくりぬいたものと考えてください。
中心を慣性モーメント,計算,平行軸定理,くり抜き円盤,シュタイナー定理、半径aの円盤から、その半径を直径とする円をくり抜いた残りの部分のを通り、円盤に垂直な軸に関する慣性モーメントを求めます。
考える剛体を、くり抜く円を、軸を軸とし、くり抜く前の円盤剛体をとします。
円をくり抜く前の円盤の軸周りの慣性モーメントを、考える剛体における軸周りの慣性モーメントを、さらにくり抜いた円盤剛体軸周りの慣性モーメントをとします。

 

まず慣性モーメントの定義により次のような式が成り立ちます。

これを変形させると、

次にを考えます。円をくり抜く前の円盤の質量をとすると、面積密度は、微小面積は平面極座標を使えば、

となるので、微小部分の質量は

になります。
これらをもとに式を作って計算します。





次にを考えます。の部分の質量はであり、このを求めるためにの中心を通り、に垂直な軸周りの慣性モーメントを求めます。
面積密度は、微小面積、そして軸からの距離はであるので、


 

ここで求めたい慣性モーメントはと軸が平行で、距離がだけ離れています。
そこで先ほどの平行軸の定理を使用します。


 

よってより



解答としてはこんな感じになるでしょうか。
先日インターネット掲示板において、このくり抜き円盤の質問をたまたま見つけたのですが、もともとサテライトサイト“よくわかる慣性モーメント”というWebサイトを運営しているので今回取り扱ってみました。

 

余談になりますが最初のWebサイト作成からほぼ7年ぐらいたっており、作り始めた当初は線型代数ベクトル解析などといったコンテンツがアクセスを集めるものだと思っていましたが、意外なことにこの“慣性モーメント”というかなり地味な物理数学が思わぬヒットをだし、運営しているすべてのサイトの中で現在でもなおトップのアクセス数をはじき出しています。
アナリティクスの検索複合ワードなど見ていろいろ調べてみたんですが、どうやらその数学分野を学ぶまでに必要なプロセス部分の数学をやたら書き足していったことが意外に受けたっぽいです。
慣性モーメント,計算,平行軸定理,くり抜き円盤,シュタイナー定理

当初、こういったやり方は絶対しつこいと思われるだろうなって感じでやっていたのですが、実はこれは“ロングテール”という方法らしく、知らず知らずのうちに専門的なSEO対策をしていたのだそうです。

nextupprevious

おながいします(・ω・)

ブログランキング・にほんブログ村へ

 



くり抜き円盤の慣性モーメント関連ページ

クエーサーとブラックホール
当サイトは主に物理に関する数学など、その他周辺も含めた少々ごった煮のウェブサイトです。 数学分野に関しての趣旨としては、通常のテキストでは割愛されてしまう内容などを詳しく記述し、さらには難しい説明をするのではなく、わかりにくい内容をいかにわかりやすく伝えるか━など、そういったウェブコンテンツならではの利便性と機動性を生かしたサイト作成を主眼としています。
長距離射程におけるコリオリ弾軌道計算
初歩的な力学の分野において、慣性系に関する話の中にコリオリの力というものがあります。この“コリオリ”とは人の名前であり地球が回転することによっておこる見かけの運動力を、回転座標上で移動したときの移動方向と垂直な方向に受ける慣性力の一種を数式で表現したものになります。 このページでは実際にアサルトライフルなどの軽火器射撃訓練を行った経験がある当Webサイト管理人が、射撃検定1級取得者の立場という観点からも含めてコリオリ力を考慮した長距離射撃などについて考察します。
コリオリと軽火器の話
初歩的な力学の分野において、慣性系に関する話の中にコリオリの力というものがあります。この“コリオリ”とは人の名前であり地球が回転することによっておこる見かけの運動力を、回転座標上で移動したときの移動方向と垂直な方向に受ける慣性力の一種を数式で表現したものになります。 このページでは実際にアサルトライフルなどの軽火器射撃訓練を行った経験がある当Webサイト管理人が、射撃検定1級取得者の立場という観点からも含めてコリオリ力を考慮した長距離射撃などについて考察します。

ホーム RSS購読 サイトマップ
TOP 線形代数 ベクトル解析 慣性モーメント 解析力学 微分方程式 NEへの道しるべ mathematical.jp