2013年8月18日

コリオリと軽火器の話

コリオリの力とは?



フランスの科学者で軍属でもあったガスパール・ギュスターブ・コリオリ

初歩的な力学の分野において、慣性系に関する話の中にコリオリの力というものがあります。
この“コリオリ”とは人の名前であり地球が回転することによっておこる見かけの運動力を、回転座標上で移動したときの移動方向と垂直な方向に受ける慣性力の一種を数式で表現したものになります。
一般的にこのコリオリという人物は科学者という記述が多いのですが実は軍人でもあったことはあまり知られていないようです。

 

北半球において大砲を撃ったとき、その弾道が標的よりもわずかに右にずれることを数式によって説明した人物ということで自衛隊でも多少知られた存在らしく、話の小ネタとして話題になることもありました(おそらく重迫撃砲などではコリオリの力による弾道補正が必要になるためだと思います)。

 

余談ですが攻殻機動隊というアニメにおいて少佐と呼ばれる登場人物(草薙素子)が、「相手がコリオリの法則を熟知した手練れ〜」というセリフを吐くワンシーンがあり、飛距離数百メートルの軽火器においてはコリオリの力を考慮する必要はほとんどないのですが、2キロをこえるような長距離狙撃である場合なら確かにコリオリの力を考慮して狙撃ポイントを修正する必要があるかもしれません。
しかしながら実際に訓練や演習などで小銃射撃を行った経験から言わせてもらうと、そのような長距離からの狙撃を行う場合はまず銃の性能、さらには風圧・風向といった気象条件などに大きく左右され、さらには弾丸はまっすぐに飛んでいくイメージがありますが実際にはちゃんとニュートンの万有引力は働いており、飛行時間が長ければ長いほどその落下を考慮しなければなりません(かなり平らな放物線を描いているような感じになり、その様子は曳光弾(えいこうだん)を使うとよくわかります)。
つまり1キロを超えるような長距離狙撃においてはそれらのすべてのパラメーターを厳密に考慮した上で、さらにコリオリの弾道計算までいれる(射出点の緯度や方向によっても違いが出てくる)といういわば神業的な技術が必要になります。全く不可能とは言いませんが不確定な要素が多いため現実的には不可能に近く、こういった狙撃を成功させるにはコリオリの力の考慮云々以前の話となることでしょう。
ちなみにゴルゴ13という劇画において、スナイパーである主人公がスコープで照準をとるときターゲットが必ず中心に位置していますが基本的にあれは間違いです。あのような長距離狙撃においては先ほども指摘した重力や風向風圧による弾丸軌道のずれを考慮しなければならないためその分を計算して狙いを定め直さなければなりません。実は原作者のほうもそういったことは重々承知しているらしく、しかしながら一般人向けにあえてそのようにして描かれているのだそうです。

回転座標で運動する物体

円運動の角度をomega、周囲に沿った距離をS、ボールの速度をv、慣性力をvとおくと、

コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ

上の図は、矢印の通りに回転させた円盤を真上からみたものであり、中心から外側へ投げた球があたかも右のほうへずれたように見えるその様子を表したものです。中心部分にいる人物は図のコリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリの方向へ投げたつもりがコリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリのほうへまるで曲がって投げたように見えてしまいます。

 

Fは動径方向に垂直な方向に働く慣性力とし、一定加速度での移動距離はコリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリの形で表せるので

コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ

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この力をコリオリの力と呼び、回転座標系で運動する物体に加わる慣性力のことを言います。
この力を実際に数式を使って具体的に表現してみましょう。

 

■回転座標系■

3次元の回転

2次元の回転


コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ

回転座標系において時間変化した角度をコリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリとすれば以下のように表せます。

コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ

または

コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ

これを時間で微分します。

コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ

コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ

上記式を再度微分します。

コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ

コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ

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コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ

 

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コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ

さらにコリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ系(慣性系)では次の運動方程式

コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ

が成り立つので上の式の結果を用いてコリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリを表せば、

コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ

コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ

これらを代入しコリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ系について整理すれば

コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ

コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ

となります。
コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリは回転系から見た加速度運動で運動の原因となる力としてコリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリのほかに2つの力が加わった形であり、右辺第2、第3項は見かけの力(慣性力)を示しています。
右辺のそれぞれの意味は

右辺第2項

コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ:(コリオリの成分)

右辺第3項

コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ:(遠心力の成分)
を示しています。

 

回転座標系をまとめてみると次のようになります。
慣性系に対して運動する座標系

1.

等速度運動する座標系は慣性系となる(ガリレイ変換)。

2.

加速度運動する座標系は非慣性系(見かけの力=慣性力)を考える。
:加速度コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリで運動している系 見かけの力コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ

3.

回転運動をする座標系は2種類の見かけの力を考える。
遠心力   : コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ
コリオリの力: コリオリ,軽火器,突撃銃,アサルトライフル,ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ

コリオリの力と銃の右転式

多くの軍隊で使われる軽火器類はその銃身の内側に腔線(コウセン)と呼ばれる溝があり、それらはほとんどが右転式になっています。これはコリオリの力を考慮しているなどと説明している人がまれにいますが、単に右利きの射手が多いためであってコリオリの力とは無関係だと思われます。
基本的に弾頭や弾丸に回転を与えるという本当の目的は別に存在し、弾道軌道を安定させるためのいわばジャイロのような役目を果たすためにそうした回転を与えているというのがその理由のようです。
実際に陸上自衛隊における対戦火器でカールグスタフ(ハチヨンと呼ばれる無反動砲)と呼ばれるそれなどもそのカーブは緩いですが右転になっており(宇宙戦艦ヤマトの波動砲のギザギザのようなものが砲身の内側にありそれが緩いカーブを描いています)、それ以前に使用されていた旧式のロケットランチャー(ロケラン)とは比較にならないほど命中率が高くなったんだそうです(※命中率が上がった理由はそれ以外にもあり、たとえば名前の示す無反動のとおり後方爆風を出すことによって支点にかかるベクターを0にするなどして命中率を高めている)。

北半球と南半球とで熱帯性低気圧の回転方向が違うわけ

また台風などの熱帯性低気圧は南と北でその回転方向が違いますが、これらは上記で説明したコリオリの力が働いているためだというのは大体のところ想像がつくと思います。
ちょうど今は夏休みなので、回転する円盤を用意し、その円盤の中心に鉄球などをおいて回転させるところを実演しながら、北半球の熱帯性低気圧は反時計まわりになり、そして南半球では時計回りになるといったことなどを子供相手に説明してあげるのもたまにはいいかもしれません。

 


nextupprevious

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